史跡 鴻臚館跡3
南北を隔てる堀
鴻臚館は南北二つの施設からなり、自然地形を利用した深い堀で隔てられており、第Ⅱ期には堀の北斜面に高さ4.2mの土留めの石垣が積まれています。堀の東側には土盛りの橋が架けられ、南北の館をつなぐ通路となっていました。土の橋はその後、木橋に架け替えられており、堀の底から橋脚とみられる木柱の一部が見つかりました。
トイレ遺構
トイレと見られる遺構が、南側で3つ、北側で2つ見つかりました。いずれも深さ4mほどの穴を掘り、瓦葺きの建物で覆っていたようです。平面形が方形のものと長方形のものがあり、後者は共同トイレと考えられます。穴の底に堆積した粘土から、ウリの種や蠅のサナギの抜け殻、トイレットペーパー代わりに用いた木片(籌木)が多数出土しました。また、科学分析の結果、寄生虫や薬草などの種子が見つかりました。トイレは第Ⅱ期にのみ造られており、他の時期にはありません。
梵鐘鋳造遺構
地面に直径約3mの穴を掘って鋳型を据え、銅を流し込んで釣り鐘をひとつ造っています。古代の鐘は使用場所の近くで造る場合が多く、9世紀前半頃(第Ⅲ期)に鴻臚館の内部に鐘楼を建て、時刻を告げるために鳴らしたと考えられます。